「不動産投資ってどんなリスクがあるの?」
「どうやって回避すればいい?」
「投資を決める前に確認すべき点を教えて」
そんなお悩みを解決します。
不動産投資は節税対策ができたり、安定した家賃収入が得られたりするメリットがあります。
しかし、目先の利益しか考えないで始めてしまうと予想外の出費がかさんでしまい、最悪の場合自己破産につながる危険性があります。
そのため、投資を始める前にリスクとヘッジ手段を知っておくことが必要不可欠です。
そこで、この記事では、
- 不動産投資の11種類のリスク
- 不動産投資の4つのリスク回避策
とリスクおよび回避策について詳しく解説します。
ぜひこの記事を参考に、不動産投資を成功に導きましょう!
不動産投資における11種類のリスク
不動産投資では、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか?
こちらでは、以下11種類のリスクについて解説します。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 家賃下落リスク
- 不動産価格下落リスク
- 修繕リスク
- 金利上昇リスク
- 地震リスク
- 火災リスク
- 倒産リスク
- 赤字運用リスク
- 人口減少リスク
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.空室リスク
空室リスクとは、賃貸収入を見込んで投資した物件に借り手がつかず、資金が回収できなくなることです。不動産投資の最大のリスクといってもいいでしょう。
空室を防ぐには以下の2つが重要です。
- 物件選び:長期的に需要が見込まれる立地の物件を選ぶ
- 管理会社選び:入居者の募集業務に強い会社と契約する
そのほか、満室保証やサブリースを利用するという方法もありますが、余計な手数料がかかってしまいます。
結果的に、キャッシュフローが悪化する可能性も。
やはり、物件の購入時に立地と管理会社をしっかりと選ぶことが基本と言えるでしょう。
2.家賃滞納リスク
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が出している賃貸住宅市場景況感調査によれば2020年下半期で、月初の家賃滞納率が以下のとおり。
(参考:2020年度下半期データ丨賃貸住宅市場景況感調査)
- 全国︰5.0%
- 首都圏︰4.1%
- 関西圏︰8.2%
- その他︰4.8%
この数値から、およそ20人に1人が家賃を滞納をしていることが分かります。
家賃を滞納されてしまうと、せっかく入居者を集めた物件でも収入が止まってしまい、投資資金が回収できないリスクに繋がります。
2ヶ月滞納率まで見ると1.1%程度まで低下するため、支払いを忘れているケースが多数を占めていると思われます。
しかし、家賃の滞納が常態化している入居者には厳正な対処が必要でしょう。
3.家賃下落リスク
物件や立地の価値が年を追うごとに下がってしまい、家賃を下げないと入居者が集まらない事態に陥ることも。
実際、2013年に三井住友トラスト基礎研究所が公開した「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」では、築浅物件と築古物件における経年劣化の家賃下落のデータが公開されています。
結果として、築3年〜築10年が一番下落幅が大きいことがわかっています。新築だからといって安心材料にはなりにくいでしょう。
一方で、ワンルームに代表されるシングルタイプは築20年以降の下落が抑えられているとのこと。
経験からくる投資感覚が身についていない方は、データから理詰めで考えるのも一つの手法かも知れません。
4.不動産価格下落リスク
不動産の価値は外的要因の影響で上昇したり下落したりします。
外的要因には以下のような例が挙げられます。
- 電車の路線開通
- 都市開発
- ブランド力
たとえば、近年住みたい町ランキングでも上位の武蔵小杉ですが、公示地価・基準地価の総平均は以下のように変動しています。
(参考:土地代データ丨武蔵小杉)
【公示地価・基準地価の総平均の変動】
2005年 | 2019年 | |
武藏小杉 | 約36万円/㎡ | 約95万円/㎡ |
価格上昇の背景には、タワーマンションやショッピングモールなど、商業エリアとして再開発されていることが挙げられます。
このように価値が上昇する地域に投資できれば良いですが、人口が減少している日本では価値が下落するケースのほうが多いです。
投資前のリサーチで、必ず地域の都市開発計画に目を通しておきましょう。
5.修繕リスク
新築物件でも中古物件でも、ある程度の時間が経過すると修繕の必要が出てきます。
入居者の故意による破損ではなく、経年劣化であれば所有者が修繕費を負担するケースが多いことを覚えておきましょう。
具体的な修繕リスクには以下のようなものがあります。
- 配管の交換
- 外壁や屋根の塗装
- 室内のリフォーム
- エアコンや給湯器の取替
- 入居者の入退去の際のリフォーム
これらを完全になくすことは不可能です。
そのため、多くのオーナーは修繕費を事前に積み立てて対策しています。賃料収入の3%を目安に準備してみましょう。
6.金利上昇リスク
不動産投資を銀行から借りた資金で実施している場合は、金利の変動もリスクの1つになります。
金利が上がり続ければ、当初のシミュレーションよりも支払い総額が増えてしまうことも。
金利上昇リスクを回避するためには
- 変動金利ではなく固定金利にする:完済計画が立てやすい
- 繰上げ返済をする:金利の変動にさらされる期間を短縮できる
といった対策が有効です。
しかし、固定金利は変動金利よりも高めに設定されるのが基本。そのため、どちらにするか迷うのも無理はありません。
住宅金融支援機構の調査結果データ(2021年4月)によれば全体の68.1%が変動金利を選択しているとのこと。
今は金利が非常に低いため、変動金利を選択している人のほうが多いようですね。
7.火災リスク
投資した物件が火災・自然災害などで滅失した場合、大きな損を被ってしまいます。
この火災リスクを対策するには、借主に保険に入ってもらうことはもちろん、貸主側も火災保険に入っておくことが重要です。
投資にあたり銀行から融資を受けるケースでは、火災保険への加入が要件になっていることが多いです。
物件購入時に契約しているはずなので、特別意識する必要はないかも知れませんが、1つ頭に入れておくようにしましょう。
8.地震リスク
災害大国である日本で不動産投資を行う以上、完全に地震リスクを回避することは難しいです。
とはいえ、被害が大きくならないように準備することは可能。
たとえば、以下のような対策を行いましょう。
- 新耐震基準(1981年6月以降に建築確認された)物件を選ぶ:震度6強・7程度の地震でも倒壊しない水準
- 地盤の強い地域を選ぶ
- 地震保険へ加入する
特に、地震による被害・損失は火災保険に含まれないケースが多いので、別途特約を結ぶ必要があるでしょう。
地震はいつ来てもおかしくない自然災害なので、しっかりと対策を立てましょう。
9.倒産リスク
こちらのビジネスが問題なくても、仕事を依頼している会社が倒産する可能性もないとは言い切れません。
たとえば、賃貸管理を委託している不動産会社が倒産してしまうケースが挙げられます。
投資用不動産の資産価値や所有権に問題は発生しませんが、以下のような追加業務が発生することが見込まれます。
- 代わりの賃貸管理会社を探す
- 代わりの賃貸管理会社と契約を結ぶ
- 管理会社と契約するまでの間、入居者の問い合わせに対応する
入居者を募集していた場合は、その間空室が埋まらない可能性も高くなります。
不動産運用にあたり関わる会社は、安全な財務状況なのかをきちんと確認しておくべきでしょう。
10.赤字運用リスク
不動産投資でいう赤字とは、家賃収入よりもローン返済や税金等の支出合計額が上回っている状態のことを指します。
とはいえ、普通なら物件購入時に黒字化できることはシミュレーションできているはず。
そのため、以下のような予想しなかった事態が起こったときに、赤字運用になりやすいです。
- 予想より空室率が高い
- 何かしらの要因で物件価値が下がってしまった
- 金利が上昇してローンの返済額が増えた
- 手数料などに計算漏れがあった
ただし、すべての赤字が悪いわけではありません。
たとえ現在は単月で赤字だったとしても、長期的に見て利益が上がりそうなら、十分運用する価値があるといえます。
大事なのは、購入前に綿密にシミュレーションを行って、元が取れることがわかっている物件を選ぶことです。
11.人口減少リスク
日本全体の人口は年々減少を続けています。
総務省の「平成30年版情報通信白書」によれば、2021年現在1億2000万人超いる日本の人口は、2050年には1億人を割ると推計されています。
(参考:第1部はじめに丨1.人口減少時代とその課題丨(1)人口減少の現状丨平成30年版情報通信白書)
今後、地方を中心に空き家が増加していくことは避けられない状況です。
人が集まる需要の高いエリアに絞って投資をしていくことが、より一層重要になるでしょう。
不動産投資におけるリスクの4つの回避策
ざっと挙げても11個存在する不動産投資のリスクは、どのように回避すれば良いのでしょうか。
こちらでは、4つのリスク回避策について解説します。
- 立地を吟味する
- 建物を吟味する
- 収益のシミュレーションをする
- 自己資金を用意する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.立地を吟味する
立地が良いかどうかは実勢価格を調べたり、Googleマップで情報を集めたりとネットだけでもリサーチは完結できます。
しかし、現地まで足を運び、近隣エリアや地域の情報なども自分の目で見て調査すると、文字情報だけではわからないことも見えてくるでしょう。
特に、周辺の地域に住む人と交流できれば、入居者のニーズが理解できるので、空室を回避する作戦も思いつきやすいですよ。
2.建物を吟味する
建物の価格・建築内容・管理状況を納得がいくまで精査しましょう。
- 不動産会社から話を聞く
- 売主から話を聞く
- 物件の状況を目視で確認する
- 登記事項を調べる
- 役所で法令による制限がないか調べる
- インフラの整備状況を確認する
確認が漏れて、後からいろいろと不都合な事実が判明するのは最悪です。
黒字運用できるかどうかに大きく関わるので、必ず妥協しないようにしましょう。
3.収益のシミュレーションをする
きちんと利益が出る投資物件なのかは、綿密なシミュレーションで確認しましょう。
代表的な経費はすぐに想像できるでしょう。
- ローン返済にかかる金利
- 物件にかけた保険料
- 管理会社への委託料
- 設備の修繕費・更新費
- 不動産取得税・固定資産税・印紙税
なかでも重要なのは、以下のような係数を考慮した収益です。
- 空室率:10戸のアパートで1戸空室なら10%
- 家賃下落率:人口減少予測などから算出。10年後5%減など。
収入と支出のシミュレーションを立てて、想定されるリスクを盛り込んだ上で検討するようにしましょう。
このあたりは経験がものを言うところも大きいので、始めての方は専門家の意見を仰いでみてください。
4.自己資金を用意する
不動産投資はまとまった資金が必要になるため、銀行からの融資を想定している方が多いでしょう。
とはいえ、まったく自己資金がない状態で始めるのはあまりおすすめできません。
なぜなら、以下のような理由があるからです。
- 借り入れにあたり頭金が必要になる
- 購入後の突発的な経費に対応する必要がある
- 自己資金が少ないと悪条件での借り入れになりやすい
これらを踏まえ、一般的には物件価格の20%〜30%くらい用意できると安心とされています。
資金量から逆算するなら、200万円〜300万円を投資に使える方はだいたい1,000万円くらいの物件を投資先にするのがおすすめです。
ぜひこの記事を参考に、不動産投資のリスクを考慮の上、物件選びを始めてみてください!
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