先日書いたフーリエ変換の記事はなんとはてブ1000超えをいただきました.ありがとうございました.
そんな中で,読者さんとこんなやりとりがありました.
と,言うことで,参考書類をまとめてみました.大学レベルになると,オススメ参考書をまとめたサイトもめっちゃ少なく,参考書を探すのすら一苦労です.
幸いにも,私はロボットを専門的に学んでおり,数学,力学,電気,プログラミングなどなど多彩なことを学んでいます.
今回は,私が今まで使ったことのある参考書の中で良かったものを紹介させていただきます.
ここにまとめたのは,すべて私が今まで読んだことのある参考書なので,他のサイトによくある「使ったことないけどおすすめする」的なのとは違います
私が愛読しているオーム社のマンガでわかるシリーズなどはKindle版も出ているので,通学時間とかのスキマ時間とかでサクッと読みたい人とかはKindle版を購入するのがおすすめです.
授業だけだと解法の暗記になってしまうことも少なくないですが,参考書等で体系的にわからなかったところをカバーしていくと,数式とイメージの結びつきや,本質を知りながら勉強できるのでかなり周りの学生と差がつくことは間違いありません
それでは行ってみましょう!!
目次
線形代数
理系大学生が大学に入学し,1年生の時に習うのがこの線形代数という科目.
ひたすら逆行列や行列式の計算だけさせられて,線形代数が持つ威力を理解できないまま終わってしまうことも多いのが現状です.
マンガでわかる線形代数
まず,一番初めに線形代数のざっとした流れを見るのは,『マンガでわかる線形代数』がオススメです.
マンガなので読みやすく,かつ絵がたくさんつかわれていてイメージがしやすいので,線形代数を学ぶとよく起こる「計算はできるけどこれってなにしてるんだ?」ということを解消できるというメリットが有ります.
食堂で食べたいメニューを使って例える線形写像の例が個人的にすごく腑に落ちました.
スバラシク実力がつくと評判の線形代数
ただ,この一冊だといろいろ不十分なところがあるため,おおまかにイメージを掴んだあとは,文章や式ベースの教科書で理解を深めていきます.
とてもわかりやすく解説されており,まずはベクトルの解説から始まり,対角化やジョルダン標準形の話までつながっていきます.
演習問題が31問含まれているのですが,解き足りないという場合はさらに130問以上の演習問題が含まれている問題集もでているので解いてみると良いかと思います.
「理系の参考書といえばマセマ!!」という話があるほどに,長年指示されていて,丁寧な作りが特徴です.
入門線形代数
三宅さんの『入門線形代数』は結構コンパクトな線形代数の本です.うちの大学の公式の教科書なのですが,演習問題も豊富でいい感じです.
ただ,たまに少し説明が省略されてたりもするので,上の本と合わせながら演習として使うのが良いと思います.
ここまでやればとりあえず1回生の線形代数は完璧.
微分積分
こちらも同じく,大学に入学して初年度の理系学生の必修科目.
線形代数もそうですが,微分積分はシッカリ理解しないとのちのち大変なことになります.
ここから微分方程式につながっていき,力学や電気で微積のオンパレード状態なので,ちゃんと理解しておかないとほんとに地獄を見ます.
マンガでわかる微分積分
こちら,内容のメインは高校の微積と大学の微積を結ぶものとなっています.ただ,区分求積から積分へという概念がわかってなかったりとか,変化率と微分が結びついていない方など,『計算はできるけど高校の微積もあんまり理解できていない…』という方は大学数学に入る前に1回読んでおくことをおすすめします.
「偏微分ってなに…?」って思っていた時に手を取りましたが,もやもやが晴れていく感覚がありました.
スバラシク実力がつくと評判の微分積分
こちらも線形代数の時に紹介したスバラシク実力がつくシリーズです.
一般の教科書の微積の教科書といえば数式だらけなのですが,結構図が使われておりめちゃめちゃわかりやすい.
線形代数のとき紹介したものと同様,演習書と組み合わせると単位は楽勝でとれます.
微分方程式
さて,微分がわかればその後に習うのは微分方程式です.
大学ではとりあえず変数分離やら定数変化法を習うのですが,「微分方程式なんて何の役に立つんだろう…」と思ってひたすら問題を解いていた方も多いのではないでしょうか?
マンガでわかる微分方程式
マンガでわかるシリーズでも激推ししたいのが「マンガでわかる微分方程式」です.
微分方程式が日常のどんなところに使われているかを説明しながら微分方程式をマスターしていく物語になっています.
人口統計問題やバクテリアの繁殖,飛行機の未来の場所予想,バネの動きの予想など,「こんなところにまで微分方程式が使えるのか!!」となること間違いなしな一冊です
理系大学生なら必ず読んでおくべき.
やさしく学べる微分方程式
マンガでわかる微分方程式を読んで,微分方程式の強さに気づけたらちゃんと勉強したくなるはず.
そこで,解ける力をつけるならこの本かなと思います.
要点のまとめがあり,例題,練習問題,総合問題と続いていくので,段階的に力がつきます.
説明の飛躍がないのがすばらしく,すんなり頭に入ってきます.
力学
大学の物理って一気に難易度が上がったような気がしたのは私だけでしょうか?
ここでは,大学1年生の時に習う高校の延長上の力学について触れます.
ビジュアルアプローチ 力学
普通に高校生でも理解できるんじゃないかというくらいにわかりやすい力学の教科書です.
はじめは高校力学の内容から入り,バネダンパ系の微分方程式や慣性モーメント,ラグランジュの運動方程式へとつながっていきます.
びっくりするのが,フルカラーであるということ. 大学の教科書でフルカラーとかかなり珍しいのではないでしょうか.
演習問題もそれなりに入っているので,高校物理と大学物理の橋渡しにちょうどよいと思います.
ファインマン物理学
あの有名なファインマン教授の物理学の講義をまとめた本です.
こちらは,教科書や参考書というよりは読み物に近いので,紹介するか迷ったのですが,理工系の学生なら読んでおいたほうが良いんじゃないかなと思います.
数式をごちゃごちゃいじったりする他の教科書とは違い,物理の本質,そして楽しさを教えてくれる一冊です.
材料力学
私は機械系の人間なので,2回生で材料力学や熱力学,流体力学… と力学三昧です.
このあたり,実用的ですがイメージするのがすごくむずかしく,苦労した覚えがあります.
マンガでわかる材料力学
またもやマンガでわかるシリーズですが,やっぱりイメージが難しいものをマンガにしてくれるっていうのはすごく助かりました.
本棚を作りながら,材料のひずみや応力の話に始まり破壊や応力ひずみ線図,モールの応力円とつながっていきます.
ロールケーキの生クリームの量で例えたせん断力の話がすっごくわかりやすくて大好きでした.
結構しっかり書かれているので,材料力学1の内容はほぼカバーしていると思います.
ビジュアルアプローチ材料力学
マンガでわかる材料力学を読んで大まかに内容を把握し,このビジュアルアプローチ材料力学で細かい理解と数式を追うというスタイルがかなりいいんじゃないかなと思います.
フルカラー図がたくさん使われており,わかりにくい分布力の問題やSFD,BMDの演習問題も多数含まれています.テスト前はこれを解いて問題に慣れていました.
熱力学
高校の時から苦手としている人が多いのが熱力学です.
今まで,「物理で一番熱力学が好き!!」という高校生はあまり聞いたことがありません.
大学になると,さらに抽象度が上がります.エンタルピーやらエントロピーやら習いますが,イマイチよくわからないまま終わってしまうことも多いのがこの科目.
マンガでわかる熱力学
もう鉄板になってきたマンガでわかるシリーズですが,熱力学でも『マンガでわかる熱力学』をおすすめします.
高校の熱力学や偏微分,全微分,周回積分や線積分のと言った数学類の軽い復習をした後,熱力学第一・第二法則やクラウジウスの原理,カルノーサイクル,エントロピー増大則と話が進んでいきます.
「食べちゃったシュークリームをもとに戻せるか」という内容からエンタルピー増大則へ繋げていくところで思わず笑ってしまいました.普段の何気ないところでも熱力学って使われているんだなと思わせてくれる一冊です.
イメージしにくい熱力学をかなり丁寧な絵で書いてくれてて重宝しました.残念なのは,他のマンガでわかるシリーズと違ってKindle版がないので紙で買わないといけないというところくらいですね.
ゼロから学ぶ熱力学
このマンガでわかるシリーズの後は,ゼロから学ぶ熱力学あたりを読むと基礎的な力からつけることができます.
熱力学を学んでて「なんでカルノーサイクルは断熱過程と等温過程の組み合わせなの?」とか「エントロピーって結局何の役に立つの?」などという疑問が湧いてくるはず.その疑問を解消してくれます.
流体力学
こちらも機械系の人間なら必修の科目です.僕はロボット系の人間なんで,あんまり流体力学いらないかなって思ってましたが,油圧ロボットとかやるなら多少はいるのかな〜という感じ.
マンガでわかる流体力学
お決まりのマンガでわかるシリーズです.圧力の話やマノメーター,ベルヌーイの定理,流速流量,層流,粘性の話… と進んでいきます.
流体力学って,わかってしまえば意外と簡単だったりもするので,難しい数式だらけの教科書を読む前にマンガでイメージつけておくのは結構大事です.
オカルト大好き科学部員が超常現象だと思っていた出来事を流体力学の知識で紐解いていくストーリー展開で軽く楽しく読めます.
高校数学で分かる流体力学
もう一冊おすすめしたいのは,「高校数学で分かる流体力学」という本です.
読み物として面白いので,是非読んでみてください.あの難しい「ナビエ・ストークスの定理」も高校数学で扱っちゃうからすごい.
ただひとつ注意ですが,高校数学の知識だけではきついですw 大学初年度のベクトル解析関係の知識も多少必要です.
流体力学―シンプルにすれば「流れ」がわかる
最後に,演習系の本としてオススメなのがこちらの本です.
なにがスゴイって,びっくりするくらいの問題量です.大学の物理の教科書って,「各章にちょろっと問題がついてて,解説なし」みたいなのが多いです.
しかし,これはPDFが用意されていて,しっかりとした解説がWeb上に上がっています
電気・電子系
ここは,実は私の学科ではかなりさらっとしか扱っていません.
とにかく基礎的な理論だけ押さえて,最低限のロボットに必要な回路を組めればいいという考えなので,電気電子系の人からしたら全く参考にならないかもしれません.
機械系や情報系の人が電気電子関連の授業で学ぶ時に有効な参考書だと思ってください.
カラー徹底図解 基本からわかる電気回路
約400ページ近いボリュームがありますが,かなり丁寧ですんなり読めます.
原理を大事にしていて,暗記をあまりさせないというコンセプトがすごく好きです.電気回路なんて暗記しても一切使えませんからね.
マンガでわかる電子回路
電子工作部の新入部員さんが知識をつけるためにラジオを作っていくというストーリー,普通に楽しく読みながら回路のことを勉強できる内容です.
トランジスタの話や電気回路の知識を確認した後に復調回路や低周波増幅回路を扱います.
デジタル信号処理
デジタル信号処理といえばフーリエ変換が肝になりますので,3冊のうち2冊はフーリエ変換の本です.
音とか,画像処理,通信などなど様々なところで使えるのがフーリエ変換,しっかり学習しておくといろんなとこで応用できます.
マンガでわかるフーリエ変換
フーリエ変換の概略を理解するのにはやっぱりマンガでわかるシリーズ.
軽音サークルの女の子がフーリエ変換を勉強していくスタイルになってて,「音とフーリエ変換」という実用生を実感しながら勉強できます.
フーリエの冒険
これを読んで理解できなかったらもう諦めたほうがいいレベルに丁寧に解説してくれている本です.
本というより,絵本に近いレベルで読みやすいです.普通に中学生でも読めるレベル,というか数学の面白さに気づけるので中学生とかこそ読むべき.微分,積分,ベクトルなどもめちゃめちゃ丁寧に解説してくれています.
よくわかるデジタル信号処理入門
フィルターの話とか,アナログ・デジタル変換の話などを解説している本です.
Matlabなどを使って実際に信号を処理する話はしていないですが,理論を整理するのには良い本かなと思います.
機械製図
これはもう理系というよりは本当に機械系の人しか習わない分野だと思うのですが,以下の2冊がすごくよかったので無理やり入れてしまいました
図解力・製図力おちゃのこさいさい―図面って、どない描くねん!LEVEL0
この本はびっくりするくらい分かりやすかったです.製図とか機械設計をするエンジニアになるなら絶対読んでおいた方がいい一冊です.
製図って,めっちゃルールあるんですが初心者はなにから勉強したら良いのかよくわからないはず.大事なところを綺麗にまとめてくれています.
こちらの第2版もおすすめです.
プログラミング(C言語)
理工系だと,やっぱりはじめはC言語から入るところが多いようです.
機械制御用プログラムだと,ほとんどC言語やC++なのでとりあえずC言語を教えるのは普通の流れだと思いますが,初心者にとってはかなり難しいというのも現状です.
Cプログラミング入門以前
私が初めてC言語を学んだ際,挫折してめぐり付いたのがこの本です.
C言語を学ぶ前に必要となるコンピュータの知識,ポインタを学ぶ前に必要となるメモリ関連の知識などが書かれています.この本を読んでからC言語を勉強すれば,かなり教科書に書かれていることが分かるはず.
最後にはブラックジャックをC言語で作ってみたりします.楽しい.
Cの絵本
イラストが豊富で,変数の概念や配列,ポインタの話を解説してくれます.
絵本という割に,しっかりとした解説もついておりわかりやすいのが特徴です.私が高校3年生で読んだときには第1版でしたが,第2版も出ているということでさらにわかりやすくなっていると思われます.
明解C言語
C言語の教科書として,様々な大学,高専で採用されている本です.
サンプルプログラムが配布されており,プログラミング初心者にとってもエラーの対処などがし易いです.
上記のC言語入門以前で基礎的な知識をつけた後,Cの絵本で概要を掴み,この明解C言語でしっかり基礎固めをするというのが良いのではないでしょうか.
最後に
どうだったでしょうか?理系大学生なら誰しも,授業中に理解できなかったり,テスト前内容が難しすぎてに絶望することががあるはず.
ここで紹介した参考書たちが役に立てば嬉しいです.
今回紹介した参考書は,あくまで「授業や教科書のレベルが高くて…」という方向けなので,少し内容的には低レベルかもしれませんが,そういう低レベルのことをしっかり理解することが,発展的な内容を理解できるようになる最も近い道なんです.
下手に難しいことをやるよりも,上記のような簡単だけど大事なことを押さえた参考書で基礎をしっかりおさえるのが大事だと私は思います
それと,ジャンル外なのですが,理系大学生がつまりそうなところをギュッと凝縮して解説した読み物として「物理数学の直観的解法」という本があります.
「この発想はなかった!」と思える解説が多く,今まで天下り的に理解していた公式の理解をするきっかけになるかもしれない本です.
すごくいい本なので,理系大学生の方は是非手にとってみてください.
また随時この記事は更新して行く予定です.統計学や複素関数あたりちゃんと勉強してまたまとめたいなぁ.
もし他におすすめ本がありましたら,はてブコメント等で教えていただけるとうれしいです!