みなさん,中学校の時に,「2次方程式の解の公式」というのを習わなかったでしょうか?
そう,こんなやつです.
多分ですが,中学校で習う公式の中では一番複雑だと思います.
加えて,中学生には証明が難しくて,多くの中学では先生が「とりあえずこれ暗記で.」みたいな雑な教え方しかしていないというのも現状なよう
確かに,式変形の過程を終わせることはちょっと中学生には退屈だし難しいと思います.
今回は,それを図形的解釈を含めて確認してみましょう.
例題を解いてみる
さて,その前に解の公式ってなんだっけ?という人も多いと思うので,例題を出してみます.
例えば, の解を求めるという問題があったとします.
もちろん,たすきがけ等,他の解法を使ったほうが楽ですが,後の説明につなげるためにあえてこの例題を解の公式で解いてみます
id:htnma108 さんのブコメに返答しておくと,たすき掛けで解けない2次方程式は,図形的理解をする際に途中過程にルートが出て来てしまい,複雑さが増すためにこの例題を選ばせていただきました
こんな感じですね.
つまり,式の前の係数を代入するだけで解が分かるというのが解の公式のすごいところなんです.
ただ,「解の公式ってなんで成り立つの?」と言われると,中学生はともかく大学生でも結構答えられない人は多いんです.
簡単な形の2次方程式
2次方程式というと,一般的にはの形ですが,もっとシンプルな場合もあります.
例えば,みたいなのも立派な2次方程式.
この程度であれば,解の公式なんか使わなくても一瞬で解けると思います.
発想として,一般的な2次方程式も,簡単な2次方程式の形に変換してやればいいということになります
2乗と正方形の面積
さて,当ブログでおなじみの考え方ですが,2乗といえば正方形の面積と関連付けることで視覚化できます
先程説明した,「一般的な2次方程式から簡単な形の2次方程式への変換」を図形を使って可視化してみましょう
ただし,2次方程式を正方形の面積として置き換えて考えた場合,xは正の数しか考えられません.図形的説明はあくまでも理解をするための補助的理解としてお使いください.
と,いうことで序盤でだした例題のという2次方程式をこんな風に考えてみましょう.
の15の部分を移項すると となるわけですね.
つまり,1辺の長さがxである正方形の面積と,縦の長さがx,横の長さが2の長方形の面積の和が15ということになります.
「2次方程式を解く」ということは,この面積の関係から,長さxに値するところを求めるということになりますね.
長さを求めるには,できるだけきれいな図形にしたいので,ちょっと正方形に近づけてみましょう.
さて,この形,ちょっと穴埋めをしてあげるときれいな正方形になりますね.
始めの長方形を切ったり移動させたり,足りない部分を新しく埋めて,正方形を作っているわけです.
いびつな形の図形を,正方形にするために,無理やり正方形を足した感じです.
さて,そんなこんなできれいな正方形を作ることが出来ました.
さて,ここで式の形を見てみましょう
を,先程見た単純な式の形に変形することが出来ました
もちろん,変形しただけなので,展開すると元の式が出てきます
さて,ここまで変換できたら後はもう簡単ですね.
を解いたときと同じです.
さて,ここまでの流れはつかめたでしょうか?
今回はという具体的な方程式を見てみました,最後に一般化してみましょう.
一般化のお話
さて,それでは,の解を求めてみましょう.
まずはですね,簡単にちょっとだけ式変形を行います.
の前の係数が1のほうが図形的理解がしやすいからという理由です.
さて,この式変形後の2次方程式を,先ほどと同じように正方形及び長方形の面積として考えてみましょう.
文字がいっぱいでわかりにくい人は,先ほどの具体例と照らし合わせてみてください
ここで得られた図形を,先ほどと同じように正方形に変換していきます.
ここで,一部くり抜かれた正方形を得ることが出来たので,足りない部分を補ってみます.
この変形過程を通して新たに得た正方形の一辺の長さ,及び面積を使って,以下のような方程式を得ます.
複雑そうな見た目をしていますが,◯ = 定数といった,単純な形の方程式に変換することが出来ました.
ラストスパート,を解いたときと同じ感覚で2乗を消し,簡単な式変形をすれば終了です
めでたく2次方程式の解の公式を導くことが出来ました.
さいごに
もうちょっとスマートにいけるかな〜と思ったんですが,やっぱりどうしても複雑になりますね.
を辺の長さとして捉えた場合,正の数しか考えられなかったりといった問題があるのでちょくちょくごまかした部分もあります.
まぁ図形的理解はちゃんとした数式による理解による一歩手前の補助的存在でお使いください.
図形的に見てみると,「あっ,こういうことか!!」と理解できることも多いと思います.
手順を全部文字にして書くと,結構長くなりますが,自分で図を書いて式を追ってみると,意外と簡単だってことがわかるはずです.
また,教科書とは違う方法で公式を導いてみるのは,違った視点から物事を捉える能力をつけられて良いトレーニングになるんですね.
ひとつひとつの物事に疑問を持ち,それについて考えるトレーニングをしているかしていないかという些細な事が,数年後の大きな差につながってくるのではないでしょうか.