オペアンプってなんか複雑に見えますよね… ただ,わかってしまえば簡単なんですよ.
今回はオペアンプに苦しむ大学生の皆さんに向けて,図もふんだんに使ってかなり丁寧に説明してみました.
学んだものを自分の中にためておけばそれまでですが,ブログで発信すればそれが誰かの支えになる.
おそらく日本で毎年何万人もが苦しむオペアンプの理解,その助けになればと思います.
オペアンプとは
オペアンプとは,微弱な信号を増幅することが出来る集積回路になります.
信号増幅やフィルタ,演算回路などに使われています.
まずはオペアンプの回路記号から実際にみていきましょう.
オペアンプには入力が2端子あり,出力が1端子あります.
簡単に言うと入力電圧\(V_1\)と\(V_2\)を与えた時,その差に基づいた出力電圧\(V_o\)が出力されるということです
さて,ここで入力電圧\(V_1\)と\(V_2\)を与えたときの,出力電圧\(V_o\)との関係を見てみましょう.
入力電圧\(V_1\)と\(V_2\)及び出力電圧\(V_o\)の間には,\(V_o = A(V_2-V_1)\)という関係があります
いきなり出現したAとは,オペアンプが持つ固有の値で,1万とか10万とかいう値を持っていると考えてください.
例えば,\(V_1\)が0.1[mV]と\(V_1\)が0[mV]を,増幅率が10万のオペアンプに与えてあげましょう.
はい,0.1mVの信号を-10Vにまで増幅することが出来ましたね.
ちなみに,途中で出てきたこの記号は,0Vとする場所を示す接地回路の記号です.
話を戻すと,\(V_o = A(V_2-V_1)\)という式から分かるように,オペアンプは2つの入力の差を増幅することが出来るというわけです.
つまり,センサから受け取った微弱な信号などを,マイコンで扱える信号の大きさまで増幅したりすることが出来るという便利さ.
これはすごい発明です.
限界はないの?
では,増幅できる信号の大きさに限界はあるのでしょうか?
もちろんあります.
限界がなかったら,それこそオペアンプを3つ使って,10[mV]の電圧をまず10万倍して,それを2個目のオペアンプでさらに10万倍して…って大変なことになります.
もちろんそんなことはありません.
実は,実際のオペアンプでは,以下の画像のように正電源と負電源の2つをつなぎます.
つないだ電源以上は増幅できないようになっているのです.
具体的な数字で見ていきましょう.
電源電圧として,15[V]をかけるとします.
先程は,10[mV]を増幅しました.
増幅により,-10[V]の出力を得たわけですが,では20[mV]は増幅できるのでしょうか?
こうなってしまい,-15[V]〜15[V]の間でしか出力電圧を調整できないわけですね.
なので,オペアンプはあくまで微弱な信号を扱いやすいように大きくするためのものなのです.
イマジナリショートとはなにか
さて,ここで大事なオペアンプの特徴を見ていきます.
大事なのが,イマジナリショートという概念です.このカタカナががまた理解を妨げてくるんですよね.
まず,先程のオペアンプを見てみましょう.
このオペアンプの場合,10[mV]と0[mV]を入れると,-10[V]が出力されました.
電源電圧に15をかけている場合,出力は,-15から15の間になると先ほど説明しました.
言い換えると,2つ入力信号の差が大きい場合,オペアンプの出力が-15や15で止まってしまうのでオペアンプを使う意味がなくなってしまうというわけです.
つまり,オペアンプの出力が振り切れていない(=有効に使えているところ)では,2つの入力信号はほぼ等しく,同じと近似できるんですよ.
これを,イマジナリショートと呼びます.
これはよく使うので覚えておいてください.
ここまでしっかり理解しておけば,オペアンプの基本的な回路は理解することが可能です.
それではここからは,オペアンプを使った代表的な回路を見ていきましょう.
オペアンプを使った代表的な回路
オペアンプを使った回路は挙げていけばキリがないですが,今回は反転増幅器と加算機をみていきましょう.
オペアンプを使えば,増幅や加算(足し算)だけでなく,引き算や微分,積分,ノイズの除去なども可能です.
現代ではそのような計算はアナログではなくデジタル回路が主流ですが…
さて,いってみましょう.
反転増幅器
それでは,反転増幅器と呼ばれるものを見ていきましょう.
反転増幅器は,入力を増幅して符号を逆にしたものを出力とする回路です.
オペアンプでは,入力は2入力ですが,今回は片一方の入力は接地しているので0です.
また,先ほど説明したイマジナリショートにより,オペアンプのもう片方の入力も0になります.
さて,こんなことしたら怒られるかもしれませんが,理解のためにちょっと大胆なことをします.
電位がどちらも0[V]なんだったら,外してしまってもいいですよね?
これを少し良く見てみると,かなり簡単化することができることに気づきます.
この簡単化した回路を考えていくと,以下のように,入力と出力の関係式を導くことが出来ます.
つまり,入力を\(\frac{R_2}{R_1}\)倍して符号を逆にしたものが出力になるわけです.
また,この結果から言えることとして,増幅率は抵抗2つの大きさをかえれば自由自在に変えられるということです.
これは素晴らしいことです.
反転増幅器をまとめると以下のようになります.
加算器
それでは,足し算を行うことが出来る加算器を見ていきましょう.
この加算器と,さきほどでてきた反転増幅器を見比べてみましょう.
驚くほどそっくりですね.
つまり,さきほどみた反転増幅器の式を少しいじってあげれば加算器の入出力関係式が出てきます.
と,いうことで,この入出力関係式を変形してあげましょう.
ということで,足し算を行う回路を作ることが出来ました.
最後に
ここまでを理解できれば,あとは教科書を読めば他の回路の関しても同様に理解できると思います.
長文を読んでいただき,ありがとうございました.
なんかおかしいとこあればそっと指摘お願いします…!!