高校2年生の数学で習うベクトルの内積.ベクトルの内積には2種類の表記方法があることは高校生の時にいやというほど練習したため,みなさん覚えているはず.
ただ,なんかこの2つの内積の式が同じものを表しているとは直感的に理解できなかったんですよね.
『なんで\(\cos\theta\)とかが入った式が掛け算と足し算になってるんだろう…?』とかって考えてしまったんです.
教科書では余弦定理を使った解説をしており,もちろん理解できるのですが今回はもっと直感的に図形を使った理解の方法をお伝えします!
2本のベクトルが平行な時
では,まずは2本のベクトルが平行な時のことを考えてみましょう.
2本のベクトルが同じ向きを向いている時,ベクトルがなす角\(\theta=0\)であるので,\(\cos\theta = 1\)となります.
よって,内積は単純に\(|\vec{a}|\cdot|\vec{b}|\)と書くことができるわけです.
図形的に考える時の基本ですが,『かけ算を長方形の面積として可視化してみる』というのがあるので今回も例によって長方形の面積として考えてみましょう.
これをさらに言い換えると,『内積とは,「\(\vec{a}\)」と,「\(\vec{b}\)を90度回転させたベクトル」によってできる長方形の面積である』と言えます.
それでは,今作成した図にそれぞれのベクトルのx方向成分及びy方向成分を書き込んでみましょう.
最後に,わかりやすくなるように一部の三角形を移動させて面積を求めてみると… はい,面積が\(x_a x_b + y_a y_b\)になりました.
今は,『2本のベクトルが平行な時』という限定的な場合を考えてみましたが,直感的に\(|\vec{a}|\cdot|\vec{b}|\)と\(x_a x_b + y_a y_b\)が同じものであることが理解できたのではないでしょうか?
これを一般化してみる
では,これを一般化してみましょう.
先ほどのように2本のベクトルが平行である時は,『\(\vec{a}\)』と『\(\vec{b}\)を90度回転させたベクトル』によってできる長方形の面積が内積になるのでした
それでは一般化の際も先ほどと同様に,『\(\vec{b}\)だけ90度だけ回転させた時に出現する図形の面積』を確認してみましょう.
そう,このように一般化した場合には『\(\vec{a}\)』と『\(\vec{b}\)を90度回転させたベクトル』によってできる平行四辺形の面積が内積になるんです
それでは,この平行四辺形に成分表記を付け加えてみましょう.
最後に,この水色の平行四辺形の面積を求めたいわけですが,少し形が複雑なので引き算を使っていきます.
大きい長方形から周りの三角形を引くことで水色の平行四辺形の面積を求めます.
水色の平行四辺形の面積が実は2つのベクトルの成分同士かけて足したものである『\(x_a x_b + y_a y_b\)』で表されることがわかりました
ここで平行四辺形の面積とは何を表していたかというと,ベクトルの内積「\(|\vec{a}|\cdot|\vec{b}|\cos\theta]\)」のことでしたね.
ということで,『\(|\vec{a}|\cdot|\vec{b}|\cos\theta = x_ax_b+y_by_a\)』が成り立つことを視覚的に確認できました
最後に
内積なんて,理系の方にとっては息をするのと同じレベルの常識事項なので今更とは思いますが,こうやって少し違う視点からみてみるのって面白いしワクワクしませんか?
他にも,折り紙を使って理解する加法定理や内積と相関係数がめっちゃ似てる話など色々な記事があるので興味があればぜひ!