「起業をしてうまくいくか不安」
「不安を解消する方法が知りたい」
「起業前にできる対策はないの?」
そんなお悩みにお答えしていきます。
起業をしたいけど不安で最初の一歩が踏み出せない、と悩む人も多いのではないでしょうか。新しい挑戦の前に不安を感じるのは、当然のことです。しかし不安の理由や解消法を理解していれば、起業の成功率を高めることができます。
そこでこの記事では、
- 起業家が抱える5つの不安
- 起業での不安を解消する方法7選
- 起業前にできる不安への対策3つ
と、起業家の不安について詳しく解説していきます。ぜひこの記事を参考、最初の一歩を踏み出してみてくださいね!
起業家が抱える5つの不安
こちらでは、起業家が抱える不安を5つに分けて紹介していきます。
- 経営の不安
- 収入の不安
- 体力の不安
- 精神的な不安
- 家族への不安
順番に見ていきましょう。
1.経営の不安
利益を出しながら経営を続けるのは難しく、すべての起業が成功するわけではありません。日本政策金融公庫総合研究所による2020年の調査では、起業家が事業を行ううえで問題だと感じていることは「売上を安定的に確保しづらい」が41.1%で全体の1位です。
売上の確保以外にも、経営の成功が困難な理由はさまざまあります。たとえば、以下のような理由です。
- 顧客のニーズなど時代の変化が速い
- 新しい起業家がどんどん出てくる
- 事業のアイデアが思いつかなくなる
- 消費税や社会保険料の負担が大きくなる
さらに経営には在庫や従業員の管理、経理や税務といった事務作業なども必要です。利益を出しながら困難を乗り越え、経営を継続できるかは起業家にとって最大の悩みです。
参考:『2020年度起業と起業意識に関する調査』
2.収入の不安
起業をすると、会社員よりも多くの年収を得られる可能性があります。しかしその反面、収入が0になるリスクもあります。無収入の状態は、想像するだけでも怖いですよね。
また、起業には借金を抱えるリスクがあることも不安の原因です。業種によっては、開業に多額の初期費用がかかるケースもあります。開業後も運転資金を補うために融資を受けることや、設備投資をすることもあるでしょう。もし事業に失敗した場合、廃業になるだけでなく多額の借金が残ります。
安定した収入のある会社員とは異なり、起業家は収入の不安を常に抱えています。
3.体力の不安
個人事業主として1人で開業した場合、体調を崩してしまうと休業することになります。休んでいる間も収入が保証される会社員とは異なり、休業している間は収入を得られません。1人で経営をして収入を得るためには、自分自身が働き続けることが必要です。
もし従業員を雇用している場合でも、自分が体調不良で休み続けると負担をかけてしまい、離職されるケースも想定できます。
起業家は、きちんと休暇をとれない場合もあります。特に開業当初は経営が軌道に乗らず、まとまった休暇をとるのは難しいでしょう。しかし無理を続けることで、大きな病気や怪我に繋がる可能性があります。
体調管理の重要性を理解しながらも休暇をとれないジレンマから、体力の不安を抱えている起業家は少くありません。
4.精神的な不安
起業家は事業の責任者として、クレーム対応や謝罪を求められる場面も多いです。1つ1つは小さなストレスでも、積み重なると大きな負担になります。また、応援してくれる人や顧客の期待に応えられず、プレッシャーを感じることもあるでしょう。
そして起業家はさまざまな問題を1人で決断し、責任を負わなければなりません。そのため孤独を感じるケースも多いです。たとえば、以下のような理由です。
- 従業員に理解してもらえない
- アドバイスをくれる人がいない
- 努力していても褒めてもらえない
- 友人たちと話が合わなくなる
起業家はストレスやプレッシャー、孤独に耐え続けていく必要があるので、常に精神的な不安と向き合っているとも言えます。
5.家族への不安
起業はやりがいのあるチャレンジですが、会社員に比べるとリスクもあります。そのため、起業を家族から理解されないケースは珍しくありません。
中小企業庁による2014年の調査では「起業家が起業を断念しそうになった際に直面した課題」において「家族の理解・協力」が全体の約10%を占めています。その他にも「家庭(家事・育児・介護)との両立」は、全体の5%という結果です。
以上のことから、起業家にとって家族の理解を得られないのは危機的な状況だと言えます。起業は自分自身だけの問題ではありません。関係が悪化する可能性もあるため、起業家は家族への不安も抱えています。
参考:『2014年度版中小企業白書』
起業での不安を解消する方法7選
こちらでは、起業での不安を解消する方法7選を解説していきます。
- 不安になるのは当たり前と受け入れる
- 不安なことを紙に書き出す
- お金の不安は具体的にする
- 固定費を下げる
- 情報を集めすぎない
- 利害関係のない人に相談する
- 規則正しい生活をする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.不安になるのは当たり前と受け入れる
起業に限らず、何か新しい挑戦をするとき人間は不安になります。不安になる原因は、これから行く先が未知の世界だからです。経験したことがないこと、正解のないことに、人間は不安を感じるものです。
そのため起業で不安になるのは、あなただけではありません。成功している有名な起業家もみんな、不安を抱えているはずです。起業するうえで、不安を100%なくすことはできません。大切なのは不安を受け入れ、付き合っていくことです。
2.不安なことを紙に書き出す
頭の中で悩んでいるだけでは、考えがまとまりません。不安なことを紙に書き出すことで、頭の中が整理されます。
たとえば引き出しの中を整理するとき、中身を一度全部出した方が整理整頓しやすいですよね。同様に、頭の中の不安をすべて出し切りましょう。ポイントは、その日の不安をその日のうちに書き出すことです。
具体的な方法は、以下の通りです。
- 考えすぎず、とにかくペンを動かす
- 思ったことや事実をそのまま書き出す
- 誤字脱字や文字の大きさは気にしない
- 10分以上を目安に書き出す
- テレビや音楽は流さず集中する
書き出した文字を客観的に眺めることで、不安が整理されます。すぐに試せる方法なので、不安を抱えている方はまず一度試してみてください。
3.お金の不安は具体的にする
お金に関する不安は、金額を明確にすることが重要です。原価や経費、広告費や交通費など、できるだけ金額を明確にしましょう。必要な金額をはっきりすることで、具体的な調達方法を考えられます。
起業の資金調達方法は、主に以下の5つです。
- 日本政策金融公庫の創業融資
- 民間金融機関の融資
- クラウドファンディング
- ベンチャーキャピタル(投資会社)
- 自治体の助成金・補助金
自分に必要な金額と最適な調達方法がわかると、お金の不安はかなり解消されるはずです。
4.固定費を下げる
お金の不安に関して、支出を減らす工夫が有効です。短期間で売上を伸ばすのは難しいですが、固定費を下げることはできます。
たとえば事務所の賃料を抑えたい場合、引っ越しは手間と費用がかかります。そこで新しいテナントを契約するのではなく、シェアオフィスを検討するのも方法の1つです。
また、通信費などもプランを見直すと料金が下がる可能性があります。大きな金額でなくても、毎月の積み重ねで負担はかなり変わります。さらに人件費についても業務委託や外注など、必要なときだけ人を雇うことで固定費削減に繋がりますよ。
経営や収入の不安を解消したい方は、まず毎月かかっているランニングコストを見直してみてください。
5.情報を集めすぎない
情報収集は大事なことですが、情報の集めすぎには注意が必要です。情報がありすぎるがために、かえって混乱する可能性があります。
心理学においても、コロンビア大のシーナ・アイエンガー教授によって提唱された「ジャムの法則」というものがあります。ジャムの法則とは、選択肢が多すぎると選ぶことに困難を感じてしまう心理作用のことです。
インターネットでの検索や書籍、セミナーなど、起業に関する情報収集の方法は豊富です。さまざまな事例を目にしたり、アドバイスを受けることもあるでしょう。しかし、あなたとまったく同じ環境や経験をした人はいません。そのため参考程度にしかならず、正解を導いてくれるものではないと理解しておくことが重要です。
不安を解消するためには、ある程度の情報を集めたら次の行動に移りましょう。
6.利害関係のない人に相談する
相談をすると気持ちが落ち着いたり、やるべきことが明確になったりした経験のある人も多いのではないでしょうか。起業についても同様です。起業家の孤独をすべて理解されることはなくても、不安の解消に繋がります。
ポイントは「利害関係のない人」を選ぶことです。利害関係のある取引先やビジネスパートナーに相談した場合、相手の利益になる方へ誘導される可能性があるためです。
また、家族や親しい友人なども避けた方がいいでしょう。あなたの不安に共感して、物事を客観的に考えられなくなるかもしれません。
不安を解消するための相談相手は、コンサルタントや税理士など、プロに依頼するのもおすすめの方法ですよ。
7.規則正しい生活をする
規則正しい生活は、起業家の体力や精神的な不安を解消する有効な方法です。心身を整えることで、常にベストパフォーマンスを発揮できるようになります。実際に成功している起業家には、毎日ジムでトレーニングをしたり食事に気をつけたりと、規則正しい生活をしている人も少なくありません。
もちろん起業当初などは、休みなく集中的に稼働する時期もあるでしょう。そのなかでも野菜をしっかり食べる、短い時間でも運動をするなどを意識すると、不安の解消に繋がりますよ。
起業家にとって体は大切な資本です。仕事とのバランスを考えながら、規則正しい生活に取り組んでみてください。
起業前にできる不安への対策3つ
こちらでは、起業前にできる不安への対策3つ解説します。
- お金の勉強をしておく
- 貯金をしておく
- 営業力を磨いておく
詳しく内容をチェックしていきましょう。
1.お金の勉強をしておく
起業前にお金の勉強をしておくことで、経営や収入の不安への対策になります。会社員をしていると、管理会計の知識や税金の知識について学ぶ機会は少ないですよね。
たとえば、起業後に必要になる税金の種類は以下の通りです。
【法人にかかる税金】 | 【個人事業主にかかる税金】 |
法人税 | 所得税 |
法人事業税 | 個人住民税 |
法人住民税 | 消費税 |
消費税 | 個人事業税 |
固定資産税・償却資産税 | 固定資産税・償却資産税 |
本やインターネットでも学べられますが、時間節約のためにセミナーの活用もおすすめです。起業後に慌てることがないように、税金や会計などお金についての知識は身につけておきましょう。
2.貯金をしておく
個人事業主の場合であれば、貯金がなくても起業するのは可能です。しかし、不安への対策として貯金しておくことをおすすめします。
貯金をしていない場合、急な支出などですぐに経営はピンチになってしまいます。起業後に発生する支出には、まったく予想していなかったものも多いです。もし貯金があれば、不測の事態が起きても余裕を持って対処できるでしょう。また、補助金や助成金を利用したい場合、ある程度の資本金がないと信用が得られません。
さらに、貯金があれば経営が軌道に乗るまでの生活費を心配しなくて済みます。開業したばかりの時期は、思うように売上が伸ばせないケースがほとんどです。売上が伸びないなかで生活費の心配があると、精神的にも余裕がなくなります。
貯金の目安は人によって異なりますが、少なくとも生活費の3~6ヶ月分は貯めておくといいでしょう。
3.営業力を磨いておく
起業の成功に必要なスキルはさまざまですが、営業力は特に必要なスキルの1つです。起業前に営業力を磨いておくことで、起業後に仕事がないという危機的状況を回避できます。
そもそもビジネスは、いい商品やサービスを開発すれば成功するというわけではありません。起業当初は認知度が低く、優れた商品やサービスでも売上を伸ばすのは困難です。まずは顧客に知ってもらうために、営業力が必要になります。
営業力とは具体的に、以下の5つの能力をまとめたものです。
- コミュニケーション能力
- ヒアリング能力
- クロージング能力
- 課題分析力
- 時間効率化能力
これらの能力を磨くことで、売上を伸ばす以外にも経営におけるさまざまな場面で役に立ちますよ。