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意外とシンプル?加速度センサの仕組みをざっくりと図解してみる

12月になり,今年もアドベントカレンダーの季節がやって来ました.

昨今,IoTブームで,『今までセンサに触れたことがなかったWeb系エンジニアがセンサをどんどん使っていく』なんてことも多くなって来ました.

ざっくりとでも仕組みを知っておくことで,おかしな値が取れた時や誤作動を起こした時に対処の方法が全然違って来るはずです

センサというと一見難しそうですが今回は初心者向けということで,高校で習うレベルの物理公式だけで理解できるようなレベルで書いてみました.

加速度センサの利用例

加速度センサは私達の身近な例では,自動車のエアバッグやゲームのコントローラ,スマートフォンなどに使用されています.

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例えばスマートフォンには,縦を向けられているか横を向けられているかを自動で判断する機能がありますよね.

あれは,重力加速度の方向を検知することでスマホがどの方向を向いているかがわかるため画面表示方法の切り替えが可能になっているというわけです.

プロジェクターの画面補正,事故を検知してエアバッグを膨らませる,衝撃を検知してHDDドライブを退避させる… といった様々な用途で活用されているのが加速度センサです.

では,次から加速度センサの仕組み的な話をしていきます.

運動方程式とフックの法則

高校の物理の初めの方で,『ニュートンの運動方程式』と呼ばれる,加速度と質量と力の関係式を習うはずです.

ニュートンの運動方程式 :『力を\(F\),質量を\(m\),加速度を\(a\)とすると,\(ma=F\) が成り立つ』

そして,同じく高校物理の初めに習う公式が『フックの法則』ですね.

フックの法則は,日本語でいうと『バネの伸び量はかけた力に比例する』というような法則でした.

フックの法則:『バネにかかる力を\(F\),ばね定数\(k\),ばねの変位を\(x\)とすると,\(F=kx\)が成り立つ』

この2つの公式を改めて考えてみると,『加速度と力の関係式』がニュートンの運動方程式で,『力と変位の関係式』がフックの法則なので,その2つを使えば『加速度と変位の関係式』を導くことが出来るという事になります.

実際に2つを連立すると,\(a=\frac{k}{m}x\)という加速度と変位が比例関係にあるという式を求めることが出来ました.

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言い換えると,『加速度がかかった時にばねが変形し,その変形の量を計測すれば加速度を計算することができる』ということになります.

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ここまでは高校生に馴染みが深いバネを使って説明して来ましたが,実はこのフックの法則は,金属の棒でも成り立つんです.

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つまり,加速度を測りたいときは,金属棒を使ってその変形量を計測すれば加速度を計算することができるわけですね.

では,次はこの変形量を電気信号として取り出すことを考えてみます.センサはマイコンに繋ぐわけなので,『変形量』をどうにかして電気的な物理量に変換する必要があるからです.

変形量を電気的に検出する原理

物体を引っ張ると以下のように,『表面積』と『長さ』が変わります.

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小学校の理科で習ったはずですが,『導体の表面積が大きければ抵抗は小さくなり,長さが長いほど抵抗は大きくなる』という法則があります.

つまり,『変形することで抵抗が変化する』という現象をうまく使えば,電気的に変形量を検出することができそうですね

抵抗は導体の表面積に反比例し,長さに比例するので,導体の長さ\(l\),表面積\(A\),物質の抵抗率\(\rho\)とすると,物質の抵抗\(F\)は\(R=\rho \frac{l}{A}\) と書くことが出来ます.

これはつまり,導体の長さや表面積と抵抗の大きさが関係していることを示しているので,抵抗を測ることで変形量を計算することが出来るということになりますね.

ここまでの流れをまとめるとこうなります.

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抵抗と加速度が各種物理公式によって結ばれていることがわかったので,抵抗を計測することで加速度を計算できます.

これが大まかな加速度センサーの仕組みというわけです.

他の方式

一番単純な加速度センサの原理は上で説明したとおりですが,他にも様々な方式のセンサがあるので,軽く紹介します.

静電容量型加速度センサ

静電容量型加速度センサは,以下のように固定された電極と,質量\(M\)の物体にくっついた電極からなります.

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加速度がかかると質量体が移動するため,質量\(M\)の物体の位置が変化し,それにともなって物体にくっついた電極板が動きます.

つまり,2枚の電極板の距離が変わるので,高校3年生の物理で習う『電極板の距離と静電容量の関係 \(C=\epsilon \frac{S}{d}\)』より静電容量が変化.

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加速度がかかることで電極板間の距離が変化し,距離の変化によって静電容量が変化するため,静電容量を測定することで加速度を計算することが出来るという仕組みになっています.

ピエゾ抵抗型加速度センサ

最後に紹介するのが,ピエゾ抵抗型加速度センサです.

ピエゾ抵抗とは,変形によって抵抗値が変わるような素子のことだと思ってください.ピエゾ抵抗の性質から,抵抗値を計測すれば変形量がわかるので,先ほど説明したようにニュートンの運動方程式から加速度を求めることができるというわけですね.

では,このピエゾ抵抗を以下の図ように配置してみます.左側の写真が上から見た図,右側の写真が横から見た図です.

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この状態において,もしも加速度がかかったらどうなるでしょうか?そうです,質量\(M\)の物体が動いてピエゾ抵抗が変形するんです.

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上記の例だと,抵抗\(R_1\)と\(R_2\)が伸びていて,\(R_2\)と\(R_4\)が縮むように変形していますね.

各抵抗の比から,加速度を計算することができるのがピエゾ抵抗型加速度センサになります.

今回の例のように,X方向加速度のセンシングを行うのに4つのピエゾ抵抗が必要なので,XYZの3軸方向のセンシングだと12個のピエゾ抵抗が必要になります.

まとめ

加速度センサに必要な物理法則と,センサの動作原理に関するざっくりした解説を行いました.

もちろん,実用で使うセンサはノイズ対策回路などが入っていたりともっと複雑なのですが,基礎的な原理はこんな感じです.

難しいと思っていたセンサの原理も,意外と簡単だってことがわかってもらえたかと思います.

今後IoTデバイス開発で使っていく上で,こういう知識がふとした場面で役に立つはず.

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