「フリーランスは再就職手当をもらえるの?」
「再就職手当をもらう手続きの流れを知りたい」
「再就職手当を受け取るために必要なものはある?」
このようなお悩みを抱えていませんか?
再就職手当は、雇用保険の受給資格を満たしている人が、早期に再就職先が決まった場合に受け取れる手当のことです。
まとまったお金が手に入るため、フリーランスの活動に役立てたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、フリーランスは会社に再就職しないため、手当が受け取れるかどうか気になっている方もいるでしょう。
結論からお伝えすると、フリーランスでも条件を満たせば再就職手当を受け取れます。
こちらでは、再就職手当を受け取りたいと考えている方に向けて、
- 受給条件
- 手続きの流れ
などを解説します。
フリーランスが再就職手当を受け取るには、手続きの順序が何よりも大切です。
段取りを間違えてしまうと、手当を1円も受け取れない可能性があります。
「再就職手当を受け取って事業資金に充てたい」と考えている方は、ぜひ当コラムを参考にしてみてください。
再就職手当とは?概要や受給額を解説
再就職手当について、どのような制度なのか、いくら受け取れるのか理解していない方も多いのではないでしょうか。
そこでこちらでは、再就職手当について、以下の項目を解説します。
- 概要
- 受給額
「再就職手当はどんなものなのか知りたい」「どのくらいもらえるのか知りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.概要
再就職手当とは、雇用保険の受給資格を満たしている人が、早期に再就職先が決まった場合に受け取れる手当のことです。
「ハローワーク就職祝い金」とも呼ばれており、ハローワークで手続きを行うことで受給できます。
再就職手当の目的は、なるべく早く安定した職に就いてもらうことです。
会社を退職した後の早期再就職を促し、離職者の再就職率を高めるために設けられています。
再就職手当を受け取る手順は、本記事中の「【順序が重要】フリーランスが再就職手当を受け取るまでの流れ」にて解説しています。
2.受給額
再就職手当の受給額は、以下の計算式で求められます。
<再就職手当の受給が計算式>
- 支給残日数3分の2以上:基本手当日額×支給残日数×給付率(70%)
- 支給残日数3分の1以上:基本手当日額×支給残日数×給付率(60%)
支給残日数が多いほど、支払われる手当が多くなります。
例えば、基本手当日額が3,000円の場合で比べてみましょう。
- 給付日数を80日残して再就職した場合
3,000円×80日×70%=16万8,000円 - 給付日数を60日残して再就職した場合
3,000円×60日×60%=10万8,000円
上記のケースでは、支給残日数で6万円の違いが出てきます。
なお、基本手当日額には、上限が決まっています。主に、以下の通りです。
- 退職時の年齢が60歳未満:6,070円
- 退職時の年齢が60歳以上65歳未満:4,917円
基本手当日額は、ハローワーク主催の雇用保険受給説明会で渡される「雇用保険受給資格証」で確認できます。
フリーランスでも再就職手当を受け取れる!受給条件をチェック
フリーランスでも、再就職手当を受給することは可能です。
しかし、以下の受給条件をすべて満たす必要があります。
<再就職手当の受給条件>
- 就職日の前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
- 待期満了後の就職であること
- 離職理由による給付制限を受けた場合は、待期満了後1か月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること
- 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと(資本・資金・人事・取引等の状況からみて、離職前の事業主と密接な関係にある事業主も含みます。)
- 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
- 原則、雇用保険の被保険者資格を取得する要件を満たす条件での雇用であること
出典:「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」厚生労働省
特に注意したいのは「就職日の前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること」という項目です。
例えば、所定給付日数が90日の場合、30日以上残した状態で再就職すれば対象となります。
フリーランスの場合は、所定給付日数の3分の1以上ある状態で開業届を出さなければなりません。
【順序が重要】フリーランスが再就職手当を受け取るまでの流れ
フリーランスは再就職手当を受け取るためには、以下の7ステップを踏みましょう。
- ハローワークで求職の手続きを行う
- 7日間待機する
- 雇用保険受給説明会へ参加する
- 1ヶ月間の就職活動を行う(自己都合退職の場合)
- 税務署に開業届を提出する
- ハローワークへ開業したことを伝える
- 再就職手当の申請を行う
手順を間違うと、再就職手当をもらえない可能性があります。
「手当を受け取りたい」と考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
ステップ1.ハローワークで求職の手続きを行う
再就職手当を受け取るには、ハローワークで求職の手続きを行います。
ハローワークは日本各地にあり、公式サイトから最寄りの施設を確認できます。
休職の手続きにあたり必要なものは、以下の通りです。
- 離職票
- マイナンバーカード
- 身分証明証
- 証明写真
- 印鑑
- 本人名義の通帳もしくはキャッシュカード
離職票は、会社を退職した際に送られてくる書類です。
一般的に、退職日から10日~2週間後を目安に、自宅へ郵送されます。
ハローワークへ出向く際は、上記で紹介した必要なものがそろっているかどうかを確認しましょう。
書類が不足していると、休職の手続きがスムーズにいかなかったり、再度足を運んだりしなければなりません。
ステップ2.7日間待機する
ハローワークで休職の手続きを終えれば、7日間の待機期間を過ごします。
この期間は、失業しているかどうかを判断するために設けられています。
本来であれば、就職活動の準備する期間です。
フリーランスを目指している方は、開業の準備に充てましょう。
例えば、名刺を用意したり、通信環境を整えたりするのがおすすめです。
なお、7日間の待機期間で就業してしまうと、再就職手当が受け取れない可能性があります。
安全策を取り、フリーランスの案件に着手するのも控えましょう。
ステップ3.雇用保険受給説明会へ参加する
7日間の待機期間過ぎれば、雇用保険受給説明会へ参加します。
失業保険を受け取るための説明会であり、再就職手当を受給するためには参加が必須です。
説明会では、今後の手続きや講習の日程などについて説明を受けます。
指示されたとおりに手続きしなければ、再就職手当が受け取れない可能性があるため、不明点はその場で必ず確認しましょう。
なお、雇用保険制度についての説明を受けた後は、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を受け取ります。
雇用保険受給資格者証は、失業手当を受け取れる資格があることを証明する書類です。
失業認定申告書は、働いたり求職活動をしたりした実績を申告する書類です。
どちらも再就職手当を受け取るために必要なものとなるため、紛失しないよう注意しましょう。
ステップ4.1ヶ月間の就職活動を行う(自己都合退職の場合)
フリーランスを目指している人は、基本的に自己都合退職となります。
そのため、最低でも1ヶ月間の就職活動が必要です。
本来であれば、この期間では、ハローワークから会社を紹介してもらうなどの就職活動を行います。
しかし、フリーランスの場合、就職活動は必要ありません。
とはいえ「就職活動をしている」ことをハローワークに認めてもらう必要があるため、フリーランスの開業準備をしつつ、ハローワークへ出向いたり、求人を探したりしましょう。
ステップ5.税務署に開業届を提出する
1ヶ月間の就職活動を終えれば、税務署に開業届を提出しましょう。
開業届は、再就職手当を受け取る際に必要となる書類です。
税務署の窓口に出向くか、郵送することで提出できます。
開業届のひな形は、国税庁の公式サイトから無料でダウンロードできます。
開業届を提出する際には、以下の書類が必要です。
- マイナンバーカード
- 本人確認書類(マイナンバーを持っていない場合)
余談ですが、開業届と併せて「青色申告承認申請書」を提出しましょう。
確定申告で青色申告ができるため、高い節税効果を得られます。
ステップ6.ハローワークへ開業したことを伝える
続いて、ハローワークへ開業したことを伝えましょう。
開業したことを証明しなければならないため、開業届の原本もしくはコピーを準備します。
ハローワークに伝えなければ、失業中で就職活動をしていることになったままの状態です。
再就職手当の受給額に影響を及ぼす可能性があるため、必ず申請しましょう。
ステップ7.再就職手当の申請を行う
ハローワークへ開業したことを伝え終えれば、再就職手当の申請を行います。
手続きにあたり、必要な書類は以下の通りです。
- 雇用保険受給者資格証
- 再就職手当支給申請書
- 開業届のコピー
- 個人事業主として1年以上働けることを証明できる書類
個人事業主として1年以上働けることを証明できる書類は、クライアントとの業務委託契約書が好ましいです。
契約書がない場合は、フリーランスの事業の収入が分かる通帳のコピーを提出します。
条件をすべて満たし、申請が受理されれば、ハローワークから「就業促進手当支給決定通知書」が郵送されます。
数日経てば指定の口座に振り込まれるため、確認しましょう。
【注意】フリーランスは失業手当を受け取れない
失業手当とは、失業してからの生活を維持するために必要な手当をもらえる制度です。
フリーランスは、この失業手当を受け取れません。
なぜなら、受給条件を満たせていないためです。
厚生労働省は「雇用の予約や就職が内定及び決定していない失業の状態にある方にのみ支給される」と定めています。
フリーランスで収入を得ていれば、失業の状態にあるとはいえません。
なお、フリーランスとして働いているのに、隠して失業手当を受け取った場合は不正受給とみなされます。
不正受給が発覚した場合は、以下のペナルティが課されます。
<失業手当を不正受給した場合のペナルティ>
- 不正の行為のあった日以降のすべての給付が受けられません。(支給停止)
- 不正に受給した金額を、全額ただちに返還しなければなりません。(返還命令)
- 不正の行為により受けた額の最大2倍の納付が命じられます。(納付命令)
- もし、返還や納付をしないときは、財産差押えなどの強制処分がなされます。
- 特に悪質な場合は、刑事事件として告発(刑法の詐欺罪)されます。
出典:「不正受給について(事例等)」厚生労働省 大阪労働局
フリーランスが受け取れるのは、再就職手当のみです。
失業保険の不正受給はリスクが高いため、虚偽の申告は辞めましょう。