「フリーランスは老後にいくらくらい必要?」
「年金はどれくらい受け取れるだろう?」
「年金だけでは不安だから、どうにかして増やしたい」
などと考えていませんか?
いまはフリーランスとして充実した毎日を送っていても、老後の生活に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
サラリーマンと比べると収入が不安定なので、いくらくらい貯金しておけばいいかがわかりづらいですよね。
そこでこの記事では、フリーランスの老後資金について以下の内容でお伝えします。
- フリーランスの年金について
- 老後の生活費シミュレーション
- 老後にもらう年金を増やす方法
- 年金に頼らず老後資金を増やす方法
老後をしっかりかんがえて行動していきたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
フリーランスの大半は老後に国民年金しかもらえない
会社員として働いた経験がある人は、国民年金に加えて厚生年金にも加入していたはずです。
ところがフリーランスになると厚生年金からは外れてしまうので、老後に受け取れるのは国民年金+会社員時代に支払った厚生年金となってしまいます。
ここでは、国民年金と厚生年金を受給できる条件や金額について、解説していきます。
老齢基礎年金(国民年金)は満額でも年間78万円
国民年金は20~60歳まで保険料を支払い、65歳から受け取る年金です。年金の正式名称は、老齢基礎年金といいます。
支払う保険料は、月払いで1万6,610円と定められおり、満額納付だと65歳から年間約78万円を受け取れます。(2021年度の状況)
もらえる年金を試算するには、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を確認しましょう。
(出典:日本年金機構)
「i」欄に20歳から保険料を支払った国民年金や厚生年金への加入月数が記載され、「j」欄には加入期間の応じた年金額が計算されています。
老齢年金を受け取るには、120か月以上の国民年金加入実績が必要です。
フリーランスは収入が安定しないことが多いため、保険料の免除期間が発生している場合があります。
免除が原因で加入月数が足りなくなった場合は、免除期間中の保険料を追納し加入条件満たすことが可能です。
しかし、追納し120か月以上保険料を支払っていても、受け取れる年金は満額でも年間約78万円です。
1ヵ月あたり約6万5,000円の支給となります。
会社員だった人には老齢厚生年金が上乗せ
老齢厚生年金は、会社員や公務員として働いたことがある人が加入していた年金です。老齢年金(国民年金)に加算して支給されます。
ずっとフリーランスの場合、老齢厚生年金は0円ですが、1ヵ月でも厚生年金に加入したことがあれば、その期間分の老齢厚生年金が加算されます。
国民年金は保険料も満額の支給金額も一律ですが、厚生年金は支給される給与の額によって上下します。
例えば22歳~60歳までの平均年収が400万円なら、年間約88万円が国民年金に上乗せされます。
平均年収が800万なら、約163万円です。国民年金が満額で約78万円なので、166万円~241万円ほどが、65歳からもらえる年金となります。
このように厚生年金は、保険料の支払が高くなれば、受け取る年金額も多くなる仕組みです。
【フリーランスの老後生活費】夫婦2人・単身者別に家計収支を紹介
仕事を辞めても、生活していくためには一定の費用がかかります。生活費がいくら必要なのか気になるところです。
この章では、2019年「高齢夫婦無職世帯の家計収支」で分かった老後の生活費を紹介します。夫婦2人で暮らす場合と、単身者の場合の調査結果です。
老後の生活設計をシミュレーションする際に、参考にしてみてください。
夫婦2人の生活費
年金を受給する時期になると、子供は独立していることが多く、多くの世帯は夫婦2人で生活することになります。
調査対象は、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦2人の無職世帯です。
調査結果によると、夫婦2人で生活するために必要な費用は、239,947円となっています。主な内訳は以下のとおりです。
- 食費:27.7%
- 交通通信費:11.8%
- 水道光熱費:8.3%
- 保険医療費:6.6%
- 住居費:5.7%
- 交際費:10.7%
現役で働いている世帯に比べると、保険医療費の割合が高くなっています。健康管理には注意したいものです。
フリーランスの年金は、主に国民年金の65,000円/月のみです。
妻が年金を受給していた場合は、2人で月に13万円です。
支出は約24万円なので、このままでは生活が成り立たないことがわかります。
日本人の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳。
65歳から20年生きるとして、不足分を埋めるために必要な金額は約2,640万円です。
30歳から貯金する場合、65歳までの35年間毎月6万2,800円貯金する必要があります。
単身者の生活費
「高齢夫婦無職世帯の家計収支」で調査した高齢単身者は、60歳以上の無職単身者が対象です。
調査で分かった単身者の生活費は、139,739円です。主な内訳と生活費に占める比率は、次のようになっています。
- 食費:25.7%
- 交通通信費:9.4%
- 水道光熱費:9.3%
- 保険医療費:6.0%
- 住居費:9.2%
- 交際費:10.9%
国民年金は65,000円/月なので、生活費と比べると約75,000円の赤字です。
この赤字を埋めるためには、貯金が約1,800万円必要になります。
30歳から老後資金を貯めるとなると、毎月4万2,857円の貯金を35年間続けなければなりません。
フリーランスが老後にもらう年金を増やす4つの手法とは
調査結果により、国民年金だけでは老後資金が不足するとういう事実が明確になりました。
赤字を減らすためには支出の抑制がもちろん重要ですが、それよりも老後にもらえるお金を増やすことが大切です。
ここでは、受け取る年金を増やすために有効な方法を4つ紹介します。
- 年金の繰り下げ受給
- 国民年金基金への加入
- 個人型確定拠出年金 iDeCoへの加入
- 小規模企業共済への加入
それぞれの概要とメリット、デメリットをお伝えしますので、参考にしてみてください。
1.年金の繰り下げ受給
国民年金は65歳から受給できますが、本人が希望すれば66歳から75歳まで受け取る時期を遅らすことができます。
この制度は年金の繰り下げ受給といい、1年遅らせると受給額を8.4%増やすことが可能です。
例えば70歳から国民年金を受け取るとなると、増額は42%。
金額にすると毎月約9.6万円となります。
金額は増えますが、仮に受給開始後12年以内に死亡してしまうと、65歳からもらうよりも損をしてしまいます。
老後の話にはなってしまいますが、自身の体調面と照らし合わせて、繰り下げを決定することが大切です。
2.国民年金基金への加入
国民年金基金は、会社員や公務員がもらえる厚生年金に当たるもので、フリーランスが国民年金の上乗せとして受取れる年金です。
1か月の上限掛金は6万8,000円で、受給開始時期は60歳以降です。毎月の掛金は、年齢と性別で決まります。
掛け金が全額所得控除にできるため、節税が可能です。
さらに本人が死亡した際には、家族に一時金として支給できます。
ただし一度加入してしまうと、任意で脱退できない点がデメリットです。
3.個人型確定拠出年金 iDeCoへの加入
iDeCoは毎月掛け金を積み立て、自分で選んだ金融商品を運用する制度です。
毎月の積立金は5,000円~68,000円の間から、1,000円単位で選択可能です。
こちらも掛け金は全額所得控除ができるため、節税につながります。
さらにiDeCoで出た運用益は、全て非課税です。
ただし金融商品を運用するという性質上、損失を被るリスクがあります。
また国民年金基金と同様、60歳以降に受け取ることができますが、途中解約はできません。
4.小規模企業共済への加入
小規模企業共済は、退職金のない個人事業主・フリーランスのための退職金のような制度です。
毎月1,000円~7万円の範囲で掛金を積立て、廃業時に共済金を受け取ります。
小規模企業共済も所得控除が可能なので、国民年金基金やiDeCoと併用すると、節税効果がさらにアップします。
ただし加入期間が20年未満だと元本割れを起こしてしまうので、長期的な積み立てが可能な場合のみ効果的な手段です。
【フリーランスの老後資金】稼いで増やす2つの方法
老後資金を増やすためには、もらえる年金額を増やすことが大切ですが、それに加えて所得を増やすことも非常に効果的です。
年金のほかに収入を得る手段を持っておけば、老後の生活資金不足で悩むことはありません。
ここで紹介するのは、自分で稼いで増やす2つの方法です。
- 不労所得を作る
- 老後も続けられるスキルを身につける
年金だけに頼らず、老後も自分で稼ぐスキルを身につけましょう。
1.不労所得を作る
年をとると若い頃と同じようには働けなくなります。不労所得を作っておくことは、老後資金を増やすために有効な手段です。
具体的には、株や不動産、仮想通貨への投資が挙げられます。
【株式投資】
株式投資は、株を安く買って値上がりしたところで売って売却益を得る方法が一般的ですが、株を保有することにより配当金を得ることもできます。
例えばオンラインショッピング大手のAmazonは、20年間で株価が500倍にまで成長しました。
最初に1万円分を買っておくだけで、500万円を手に入れられたのです。
もちろん今後値上がりする株を選ぶことは難しく、情報収集と分析力が必要とされます。
資金を大きく増やす可能性がある反面、多額の損失リスクもあるので、しっかり勉強してから投資することが大切です。
【投資信託】
投資信託は、投資希望者から集めた資金をまとめて、運用のプロが株式投資や債権投資を行います。
運用して得られた利益を、投資した金額によって出資者に分配するという投資方法です。
投資信託は、少額からの投資が可能なこと、分散投資しているため損失のリスクが軽減できるというメリットがあります。
分散しているため大きな利益は期待できませんが、出資するだけで運用益という不労所得を作れます。
【不動産投資】
不動産投資は、自己所有の物件を賃貸に出し家賃収入を得るという投資方法です。
最初に物件の代金こそかかってしまいますが、定期的な家賃収入で不労所得を作れます。
例えば2000万円で購入した物件を月10万円で貸し出しすると、約17年で元手を回収し、残りはすべて利益です。
もちろん手数料や税金を支払ったり、災害による補修などを行ったりする必要はありますが、人が絶えない人気の土地を保有できると、かなり安定するでしょう。
【仮想通貨のレンディング】
仮想通貨のレンディングとは、口座に預けている仮想通貨を第三者に貸し出し、利息を受け取るしくみです。
仮想通貨の売買には大きな損失リスクがあります。
しかしレンディングであれば取引によるリスクを負うことなく、確実に資金を増やすことが可能です。
レンディングの利率は年1%~5%と、銀行に預けておくより高い金利を得られます。
2.老後も続けられるスキルを身につける
現在、フリーランスとして行っている仕事を続けられるのがベストですが、体力的に難しくなる場合があるのも事実です。
そのため、年齢を重ねても体に負担をかけずにできるスキルを、若いうちから身につけておくことをおすすめします。
【Webライティング】
Webライティングは、インターネット上で文章を書く仕事です。
PC1台で簡単に始められるうえに、文章は年齢が関係ありません。むしろ歳を重ねたからこそ書ける魅力というものが存在します。
在宅でできるうえに体力が必要ないため、スキルさえあればしっかり稼げる仕事です。いまから副業として始めても、十分な収入を得られるでしょう。
Webライティングに興味のある方は、弊社メディアが主催するWriting Hacksの受講をおすすめします。SEOの基礎知識から文章術、仕事の取り方まで網羅した講座です。
【プログラミング】
プログラミングスキルを活かしたアプリ開発や、Webシステム開発も良いでしょう。
在宅で仕事ができるので、体力的にも負担がかからず、高額報酬を得られるからです。
さらにIT関連のエンジニアは今後も人材が不足すると言われているため、実績があれば年齢に関係なく案件を獲得できます。
今のうちにスキルを身につけ、実績や人脈を作っておきましょう。