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常識となりつつ半導体の基礎について,わかりやすくまとめてみる

パソコン,スマホ,ロボット,ゲーム機などなど,身の回りを見てみると,様々なものに半導体が使用されていることがわかります.

私達の生活に無くてはならない半導体,その基礎の基礎についてまとめてみようと思います.

今回は,難しい数式などは使わずにざっくりとイメージをつけてもらうところをゴールの目標としてみました!

半導体とはなにか

半導体とは,誤解を恐れずいうと,『金属と絶縁体の中間の電気抵抗をもつ物質』といえるでしょう.

そして,シリコンやゲルマニウムなどの4族元素が半導体によく使われます.

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シリコンは,人体への毒性がなく安全,自然界に大量に存在するためコストが安い,そして機械的強度が高いなどという理由からよく使われています.

ダイヤモンドが炭素原子から出来ており,そのダイヤモンドもシリコンも4族です.シリコンも『ダイヤモンド構造』と呼ばれる結晶構造を持っており,強度が強いんです.

あの有名な『シリコンバレー』も半導体によく使われる物質『シリコン』に由来すると言われているなど,半導体が私達の生活に与えた影響は大きいんです.

半導体の原理

それでは,ざっくりと半導体について理解するために,原子について見ていきましょう.

とはいっても,高校生で習う簡単な化学の知識だけでOKです.

まず,原子のモデルは以下のようになっています.

『原子核の周りを電子が回っていて,電子の軌道のことを内側からK殻,L殻,M殻…と呼ぶ』というのを思い出してください.

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あ,これはあくまで原子のモデルですからね.実際の軌道はもっと複雑です.

さて,ここで原子番号2のヘリウムと,原子番号3のリチウムをみてみましょう.

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ヘリウムは,K殻だけに電子が入っていたのに対し,リチウムではL殻にも電子が進出しています.

言い換えると,それぞれの殻に入れる電子の数が決まっていて,その規定数を超えると別の殻で電子が回り始めるということが分かります.

そして,内側の殻から順番に電子が埋まっていくということは,『内側の方がエネルギーが低い』ということを意味します.

坂道でボールを離すと下に転がっていく例えを使うと分かりやすいかもしれません.

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内側の殻の方がエネルギーが低いということは,エネルギーのグラフを作ってみると以下のようになります.

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さて,『電気が流れる』っていうのは,言い換えると『電子が移動している』ということになります.

電子が移動しているということは,安定している電子(中心の殻にいる電子)よりもエネルギーが大きいということになるでしょう.

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ちなみに,この帯には名前がついており,先ほど図で示した高エネルギーのところを『伝導帯』,低エネルギーの方を『価電子帯』,その間のことを『バンドギャップ』と呼びますので覚えておいてください.

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ここまで理解出来たら簡単で,金属が電気を通しやすいのは『伝導帯と価電子帯がくっついているか,離れていてもわずか』だからです.

そして,絶縁体が電気を通しにくいのは,『伝導帯と価電子帯がとても離れているため,電子が流れるためには莫大なエネルギーが要る』からなんです.

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半導体は,金属と絶縁体の間の性質を持っている,つまり伝導帯と価電子帯がちょっと離れているような状態にあります

そのため,熱や電圧をかけることで電子にエネルギーを与えると電気が流れやすくなるというわけです.

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イメージを大事にしたのでかなりざっくりした説明でしたが,おおよそこんな感じです.

P型N型って?

半導体について勉強していると,『P型半導体』とか『N型半導体』とかって聞くことがあると思います.

それが一体なんなのかを説明していきたいと思います.

まず,4族のシリコン,3族のボロン,5族のリンの原子モデルをみてみましょう.

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一番外の殻の電子(最外殻電子)の数が異なっていることが分かるはずです.

では,4族のシリコンのみで結合したものに対し,3族のボロン,5族のリンを入れてみるとどうなるでしょうか?

そう,1番外の殻の電子数が違うせいで,電子が足りなかったり余ってしまうという状況が起きます

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電子はマイナスなので,『電子が不足する』ということは『マイナスがなくなる』ということなので,全体ではプラスとなりますね.

逆に,『電子が余る』ということは,『マイナスが増える』ということなので,全体としてマイナスとなります.

ということで,ボロンのような3族元素を添加することで電子が不足する,つまりプラスとなった半導体のことを,ポジティブな半導体,略してP型半導体と呼ぶというわけです.

逆にリンのような5族元素を添加することで電子が余る,つまりマイナスとなった半導体のことを,ネガティブな半導体,略してN型半導体と呼ぶんです.

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P型半導体の場合,この不足した場所が空きスペースになるため,空きスペースに電子が移動していくことで電気が流れます.

N型半導体の場合は,余った電子が動くことで電気が流れるという仕組み.

これかP型半導体とN型半導体のすごくざっくりとした説明でした.

ちなみに,このように不純物を混ぜることを,ドーピングと呼びます.

まとめ

今回,以下のことについてまとめました.

  • 半導体とは何か
  • 高校化学の軽い復習
  • バンドギャップ,価電子帯,伝導帯とは何か
  • ドーピングについて
  • P型半導体,N型半導体とは何か

さらに専門になってくると,価電子帯と伝導帯のエネルギーの差を数式を使って厳密に求めたりといった難しい計算がたくさん出てきます.

今回,イメージを大切にするため数式を一切使わずに,高校の化学の知識だけで基礎を説明してみました.

これ以上踏み込むととても1記事では書ききれないので,興味がある方は他の書籍を当たってみてください.

お読み頂きありがとうございました.