「フリーランスは確定申告が必ず必要?」
「確定申告は青色・白色どちらがいいのか知りたい」
「確定申告をしなかったらどうなる?」
フリーランスは、確定申告を自分で行わなければなりません。
フリーランスになったばかりの人や、これからなろうと考えている方は、スムーズに進められるか気になりますよね。
そこでこちらの記事では、以下の内容について解説していきます。
- フリーランスで確定申告が必要な人
- フリーランスで確定申告が不要な人
- 青色申告・白色申告のメリット・デメリット
- フリーランスが確定申告するのに必要な書類
- フリーランスが確定申告しないとどうなるのか
フリーランスが確定申告で悩むポイントを網羅しています。ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスで確定申告が必要な人の3つの特徴
フリーランスでも、確定申告が必要なケース・不要なケースがあります。こちらでは、フリーランスで確定申告が必要な人について解説します。
- 一定の収入がある
- 本業とは別にアルバイトを掛け持ちしている
- 本業以外で株取引や不動産投資を行っている
ご自身は確定申告が必要かどうか、チェックしてみてください。
1.一定の収入がある
一定の収入があれば、申告するべき所得税が発生するので、確定申告が必要です。具体的には、以下の計算を行ったときに残額がある場合に、確定申告が必要です。
- 事業収入から必要経費を差し引いて「事業所得」を割り出す
- 事業所得から、基礎控除などの所得控除を引いて「課税所得額」を算出する
- 課税所得額×所得税率-控除額で「所得税額」を算出する
- 所得税額から税額控除額を差し引くと「納付するべき所得税額」が割り出せる
収入の目安は、年間所得額が基礎控除額である48万円以上の場合です。(基礎控除額参考:「No.1199 基礎控除(国税庁)」
フリーランスである程度の所得があれば、確定申告が必要だと考えておくと良いでしょう。
2.本業とは別にアルバイトを掛け持ちしている
アルバイトを掛け持ちしながら仕事を行っている場合は、確定申告が必要です。アルバイトは、会社と雇用契約を結ぶため、給与から源泉徴収して年末調整を行ってもらえます。
アルバイトの分は年末調整により納税関係は完了しますが、本業分の所得税の申告は行われていない状態です。本業の所得合計が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
アルバイトと本業で生計を立てている人は、ほとんどの場合確定申告を行う必要があるでしょう。
3.本業以外で株取引や不動産投資を行っている
本業以外で、株取引や投資信託、不動産投資を行っている方は、確定申告が必要なケースが多いです。株式などで譲渡益を得たときや、配当などで利子を得たときは確定申告が必要だからです。
ただし、以下のケースでは確定申告を行わなくても良いとされています。
- 年間を通して損失が出ている
- 特定口座で「源泉徴収あり」を選択している
- NISA(少額投資非課税制度)口座で取引していて譲渡益が出ている
株取引などで損失が出た場合は、確定申告を行ったほうが節税になるケースもあります。
フリーランスで確定申告が不要な人
確定申告が不要なケースもあります。以下2通りのパターンについて解説します。
- 本業の利益がほとんどない
- 本業で赤字が出ている
該当するかどうか、チェックしてみてください。
1.本業の利益がほとんどない
本業の利益が出ていない場合は、確定申告が不要です。具体的には、所得金額が48万円を下回る場合、確定申告は必要ないと考えて良いでしょう。48万円とは、合計所得2,400万円の場合に適用される基礎控除の上限額です。
また、48万円を越えていたとしても、生命保険料控除や社会保険料控除により事業所得が所得控除額を下回る場合も、確定申告は不要です。
2.本業で赤字が出ている
本業の利益がほとんどないのと同様に、赤字になっている場合は確定申告が不要です。赤字が出ている場合、所得税が発生しないためです。
ただし、3年間黒字で今年度が赤字になった場合は、確定申告をした方が良い可能性があります。今年度の赤字は、前年の黒字と相殺できて所得税が還付されるメリットがあるからです。
確定申告をしなくても良いが、行った方が得になるケースもあります。状況に応じて、確定申告を行うべきか判断してみてください。
確定申告は「青色」「白色」の2種類!それぞれのメリット・デメリット
確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。どちらを選んでも良いですが、得られるメリットやデメリットが異なります。
そこで、こちらでは青色申告と白色申告のメリット・デメリットをそれぞれ紹介していきます。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは、主に5つあります。
- 65万円の特別控除が受けられる
- 家族への給与を必要経費にできる
- 赤字が出ても3年間繰り越せる
- 自宅を仕事場にすると家賃や光熱費の一部を経費にできる
- 減価償却資産が30万円未満まで一括経費にできる
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1.65万円の特別控除が受けられる
青色申告は、最大65万円の特別控除を受けられるのが大きなメリットです。特別控除は、65万円を収入から差し引けるというものです。
ただし、記帳方法によっては10万円の控除額になるケースもあります。
- 10万円の控除:単式簿記による記帳の場合
- 65万円の控除:複式簿記による記帳の場合。最終的に「損益計算書」と「貸借対照表」を作成して提出する
なお、確定申告の提出期限を過ぎた場合、10万円の控除しか受けられません。
2.家族への給与を必要経費にできる
事前に届け出を出しておけば、家族への給与を経費として計上できます。「青色事業専従者給与」と呼ばれるものです。
白色申告の場合は経費に計上できず、専従者控除として「配偶者86万円、その他親族は50万円」または「所得÷(専従者人数+1)」のどちらか小さい金額しか認められません。
青色事業専従者給与の場合は金額の縛りがないため、節税が期待できます。
3.赤字が出ても3年間繰り越せる
青色申告を行うと、今年出た赤字を翌年以降の所得から3年間繰り越して差し引けます。赤字を差し引ければ、翌年度の税金が安くなります。
3年間赤字を繰り越せる場合、例えば
- 1年目に100万円の赤字が出た
- 2年目に200万円の赤字が出た
- 3年目に300万円の黒字が出た
というパターンの場合は、3年目の事業所得をゼロにできます。
4.自宅を仕事場にすると家賃や光熱費の一部を経費にできる
自宅を仕事場にすると、家賃や光熱費の一部を経費として計上できます。フリーランスの場合、自宅で仕事をしている人も多いでしょう。
白色申告の場合は、家賃や光熱費が主に業務での使用でなければ認められません。しかし、青色申告なら、業務に必要なのが明らかであれば経費として認めてもらえます。
5.減価償却資産が30万円未満まで一括経費にできる
青色申告は、減価償却資産を30万円未満まで一括経費にできるメリットがあります。
業務に使用する為に購入した建物やパソコンなどの機材は、取得価格が10万円未満の場合、その年の経費として計上できます。しかし、10万円以上の場合は、減価償却資産として数年に分けて経費に計上するのが原則です。
しかし、青色申告なら1個あたり30万円未満の少額減価償却資産は、一括で経費に計上できます。利益が多い年に30万円未満の資産を購入すれば、その年の税金を安くすることが可能です。
青色申告のデメリット
メリットの多い青色申告ですが、デメリットが2つあります。
- 事前に申請書を提出しなければならない
- 所得が少ない年でも申告の義務がある
詳しく見ていきましょう。
1.事前に申請書を提出しなければならない
青色申告を行う場合は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。
年度の途中で開業する場合は、開業スタートから2ヶ月以内に申告する必要があります。確定申告を行うときになってから「青色申告で提出したい」と思っても間に合いません。特に、会社員から年度の途中でフリーランスになる方は、早めに開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出しておきましょう。
2.所得が少ない年でも申告の義務がある
青色申告を行うと、所得が少ない年でも申告の必要があります。面倒に感じるかもしれませんが、青色申告なら赤字を3年間繰り越せるので、所得が多い年でも所得税を押さえられる可能性があります。
手間がかかっても、金額面でメリットを受けられる方が嬉しいと感じる人は多いでしょう。
白色申告のメリット
白色申告のメリットもチェックしておきましょう。
- 青色申告に比べると簡単
- 事前に手続きをしなくても申告できる
2つのメリットを紹介します。
1.青色申告に比べると簡単
白色申告は、単式簿記という簡単な記帳で申告できます。申告手続きも、収支内訳書に売上や経費などを記入するだけで良いので、青色申告に比べると簡単に済ませられます。
確定申告の手続きが複雑で、期限に間に合いそうにない場合でも、ひとまず白色申告を行っておけば納税の義務は果たせます。
2.事前に手続きをしなくても申告できる
白色申告は、青色申告のように事前に税務署に申請手続きを行う必要がありません。
青色申告は、開業から2ヶ月以内に申請しなければならず、希望していても翌年以降に適用となるケースがあります。しかし、白色申告なら事業開始時期に関係なく、確定申告が可能です。
白色申告のデメリット
白色申告のデメリットも確認しておきましょう。
- 特別控除が受けられない
- 赤字の繰り越しができない
2つのデメリットについて解説します。
1.特別控除が受けられない
白色申告は、特別控除が受けられないのが大きなデメリットです。
平成26年からは、白色申告でも帳簿付けと書類の保存が義務付けられました。そのため、青色申告の10万円特別控除要件である「単式簿記(簡易帳簿)」と実質変わりません。
帳簿付けの手間が同じなら、青色承認申請書を提出しておいて10万円の特別控除を受けた方が良いでしょう。
2.赤字の繰り越しができない
白色申告は、青色申告のように赤字を3年間繰り越しできません。その年に赤字が出ても、切り捨てられてしまいます。
赤字と黒字を繰り返している人や、赤字続きだったけれど黒字に変わりそうな場合は、青色申告の方が税負担を軽減できます。
フリーランスが確定申告するのに必要な書類
フリーランスが確定申告に必要な書類は、以下の通りです。
- 確定申告書B 第一表
- 確定申告書B 第二表
- 青色申告決算書(青色申告の場合)
- 収支内訳書(白色申告の場合)
- 本人確認書類
確定申告には、AとBの様式がありますが、フリーランスが事業所得を申告できるのはBのみです。
本人確認書類は、マイナンバーカードが基本です。マイナンバーカードを持っていない場合は、個人番号確認書類(通知カードや住民票など)と、身元確認書類(運転免許証、パスポートなど)の両方を準備しましょう。
フリーランスが確定申告しないとどうなる?
フリーランスが確定申告を行わなかった場合、どうなるのか気になるでしょう。こちらでは、2つのパターンを紹介します。
- 意図的に申告しない場合は重いペナルティが科される
- 期限に遅れた場合は情状酌量の余地がある
確定申告の義務がある場合は、必ず行うようにしましょう。
1.意図的に申告しない場合は重いペナルティが科される
意図的に確定申告を行わない場合は、納税をしないということです。憲法で、納税は国民の義務と定められているので、守らないと重いペナルティが科されます。
- 意図的に納税逃れを行った・・・重加算税
- 税金の納付期限から遅れている・・・延滞税
- 申告が期限に遅れた・・・無申告加算税
重加算税が一番重く、納税額の40%が追徴されます。期限に間に合わなかった場合にもペナルティが科されるので、注意が必要です。
2.期限に遅れた場合は情状酌量の余地がある
確定申告の期限に遅れた場合でも、一定の条件を満たしていれば情状酌量される可能性があります。条件とは、以下の通りです。
- 期限から1ヶ月以内に、自主的に申告を行った
- 税金を期限内に全額納めている
- 過去5年間に重加算税や無申告加算税が科されていない
- 災害などで確定申告できない理由がある
情状酌量の余地があるとしても、期限内に確定申告を行うよう準備しておくことが大切です。